Welcome

Choose your language to see content and offers specific to your region.

Circle the Player (サークル・ザ・プレーヤー)機能の Q&A

Magnus Holt (translation by Ai Farkas)

Jun 20, 2025

試合の中で特に重要な場面において、注目すべき選手を一目で把握できるようにしたい—— こうしたコーチやアナリストからの強いご要望にお応えし、Veoは新機能「Circle the Player(サークル・ザ・プレーヤー)」をリリースしました。この機能では、プレーの山場や勝敗を左右するような重要なシーンで特定の選手を明確にハイライトし、映像分析の精度と効率をさらに高めることができます。

この機能は、映像内で特定の選手を自動で認識し、その動きに合わせて視覚的なマークを表示する技術です。複雑な試合展開の中でも選手を正確に追跡し続けることで、見たいプレーや注目の選手を一目で捉えることができます。
また、高度なプレーヤートラッキングと直感的なビジュアルデザインを融合させることで、チームやアナリストが個々のパフォーマンスを試合全体の文脈の中で、これまで以上に明確かつ簡単に把握できるように設計されています。

Circle the Playerは2025年春に正式リリースされました。今回、開発に携わったVeoのソフトウェアエンジニアであるリンダ・スコヴマン(LS)とプロダクトデザイナーのシグネ・ベアリング(SB)に、その舞台裏について話を聞きました。

Circle the Player (サークル・ザ・プレーヤー)の開発は、どのようなきっかけから始まったのでしょうか?

LS: 正直に言うと、これはずっと前から私の中にあった「夢」のようなアイデアでした。
遡ること2021年、私は当時のインタラクティブビデオプレーヤーで、選手の下に大きな赤い円を描く実験を始めていたんです。
視覚的に、選手へスポットライトをおくような仕組みを試してみたくて、ただ遊び感覚でやっていたんですが、「これ、フォローカムでも実現できるはず」と思うようになりました。

そこからは、時間があるときに少しずつ取り組むようになりました。パズルのピースがなかなか噛み合わなくて、悩むことも多かったのですが、それでもコツコツと続けてきた、いわば私の“裏プロジェクト”だったんです。

Veo開発チームのSigne Bering と Linda Skovmand

当時は、「これを何に使うか」なんて、正直なところあまり明確にはなっていませんでした。でも、その後Player Spotlightがリリースされて、この小さな実験が一気に現実味を帯びてきたんです。実はその頃にはこのプロジェクトを棚上げしていたのですが、VeoのAIチームの協力もあって、「もう一度挑戦してみよう」となりました。そしてようやく、このプロジェクトが実を結ぶようになったのです。

SB: プロダクト側の観点では、Player Spotlightは、コーチや選手が“個人のプレーシーン”をすばやく見つけられるようにすることが目的でした。長い試合の映像を一つひとつ手動で確認する必要なく、ピンポイントで重要な瞬間を探せるのは大きな進歩でしたが、実際にそのシーンを見たときに「どの選手を見ればいいのか」が直感的に分からない、という声もあったのです。特に複数の選手が密集しているような場面では、その課題が顕著でした。

そこで登場したのが「Circle the Player」です。
Spotlightの体験をより完成されたものにし、映像を見る上での“迷い”をなくすための、自然な次の一手でした。幸いなことに、リンダがすでにこのアイデアに取り組んでくれていたので、ゼロからスタートする必要はありませんでした。軌道がすでに出来上がっていたのです。

私たちプロダクトデザインチームでは、「映像から価値を得るまでの時間をいかに短縮できるか」を常に意識しています。Circle the Playerは、まさに「小さな機能で大きなインパクトを生む」瞬間だったと思います。しかもこれは、テレビ中継やビデオゲームのように、視線を誘導するビジュアル表現として、ユーザーにとっても自然に受け入れられるものでした。ニーズに合致していて、既存の価値ある機能ともシームレスにつながっている——そうした点でも、非常に納得感のあるプロダクトでした。

視聴者がテレビ中継などで見慣れている“手動のハイライト表示”と同じくらい直感的に感じられるテレスレーション(視覚的ガイド)システムを、どのようなアプローチで実現されたのでしょうか?

LS:プロジェクトを再始動することが決まってからは、作業をいくつかの小さなマイルストーンに分けて進めていきました。目指したのは、「円が選手にしっかりと“張り付く”ように見える」状態を、信頼性と精度の両面で実現すること。そのために、一歩ずつ段階的に取り組んでいきました。

最初のバージョンは本当にシンプルで、停止中の映像でピッチの中央に円を表示するだけのものでした。そこから、映像を再生している間も円が中央に追従するようにし、さらにそれを選手の位置に連動させるようにアップグレードしました。レーダーデータを使って動く選手を追尾するようにし、最終的には、Player Moment内で実際の製品デザインに基づいて、正しい選手をハイライトできるようになりました。

一見シンプルに思えるかもしれませんが、実際には本当にたくさんの課題がありました。 まずひとつは数学的な処理です。選手のフィールド上の位置を、映像の中の「画面上の位置」に変換する必要があるのですが、これが意外と複雑でした。たくさんの「行列計算(マトリクス)」が関わっていて、ほんの少しの間違えただけで、円がまったく違う場所に表示されてしまうこともありました。幸い、別の言語で正しく動いている計算処理があったので、それと結果を1ステップずつ比べながら、丁寧に一致させていきました。

もう一つの難しさは、フレーム単位での精度です。たった1〜2フレームずれるだけで、フォローカムがすでに向きを変えたりズームしたりしていて、円が表示される位置もズレてしまいます。そこで最初は、映像内にバーコードを埋め込んだ特別なフォローカム映像を使って、正確なフレーム番号を読み取れるようにしました。
もちろん、ユーザーにバーコードを見せるわけにはいきませんが、きちんと映像と同期して表示されているかを確認するには非常に便利な方法でした。本番に向けては、より賢い手法に置き換えました。

そして最後に、テストデータから実際の映像(プロダクション映像)に切り替えたときに、また新たな問題が起きました。テストではぴったり追従していたはずの円が、突然ズレたり、意図しない場所に表示されたりするようになったんです。調べてみると、カメラの方向が決まった後に行う手ブレ補正や映像編集などの処理によって、生データと最終的な映像にわずかな違いが生じていることが分かりました。ここで大きく活躍してくれたのが、VeoのAIチームや映像処理チームでした。彼らと連携してその差を埋める方法を見つけ出し、最終的に問題を解決することができました。結果的には、チーム全体で力を合わせて実現したプロジェクトとなり、その一部として関われたことをとても誇りに思っています。

選手のハイライト機能を、Veoならではの視覚的な個性と高い実用性の両面でどう成立させたのですか?

SB: 最初から「見やすさ」は絶対条件でした。ピッチ上でサークルがはっきり見えなければ、他の要素は意味を持ちません。だからこそ、異なる照明やピッチの色に対応できるように、数十本の録画で検証を重ねました。その結果、グリーンとホワイトの2色を用意することにしたんです。一方が見えにくいときのための選択肢として機能します。

ただ、これはVeoのブランディングチャンスでもあると考えました。多くのユーザーが縦動画をSNSで共有していて、Veoのマークが切れてしまうこともある。そこで「このハイライト自体にVeoらしさを込められないか?」と考えたんです。カメラデザインから着想を得た形や、ブランドカラーを活かしたアニメーションを取り入れて、「Veoならでは」のビジュアルを目指しました。もちろん、ブランドチームとも連携しながら進めました。

同時に、デザインには主観が伴うことも理解していました。誰かには魅力的でも、他の人には響かないこともある。だからこそ、シンプルでクリーンなスタイルを心がけ、さまざまな使い方に対応できる柔軟さも残しました。たとえば、プレイヤーの周囲にもっと情報を加えたり、将来的に別の機能を重ねたりできるような設計です。

チームスポーツでは選手が常に動いており、オーバーラップする場面も発生するため、選手のトラッキングには独特の難しさがあります。試合中のさまざまな状況でも、どうやって正しい選手を特定し続けているのでしょうか?

LS: それを可能にしているのが、VeoのAIトラッキング技術です。Veoのシステムは、ボール、選手、審判など、試合中のあらゆる動きを常に解析しています。選手の位置と背番号が把握できていれば、その選手を特定し続けることができ、動きを「トラックレット」と呼ばれる単位で分割して記録していきます。さらに、ボールとの距離や保持時間などの要素をもとに、より意味のある瞬間だけを抽出する仕組みになっています。

「Circle the Player」で新しく実現できたことは、選手がある時点でフィールドのどこにいたかを把握できることで、その位置情報を画面上の座標に変換できるようになった点です。これによって、動画内で正確に選手を囲むサークルを描画できるようになりました。背後にある技術は非常に素晴らしく、それをどうやってユーザーにとって直感的で実用的なビジュアルとして表現するかが、私たちの課題でした。

Circle the Player がPlayer Spotlightの体験価値を高める上で、どのような役割を果たしていると感じますか?

SB: 私にとっては、「Player Spotlight」の名の通り、本当に選手へ「スポットライト」を当てる機能だと思っています。コーチでも、保護者でも、選手自身でも、「誰を見ればいいのか」が一目でわかる。その明確さが大切なんです。特に、たくさんのプレイリストを見返しているときに、「何が起きているのか」を理解する小さな手間を取り除いてくれる。それだけで集中しやすくなり、ひとつひとつの瞬間から得られる価値が高まると思います。

それに、体験としてもより楽しくなります。ちょっとした“喜び”が加わるんです。選手にとっては、自分の動きやポジショニングを振り返るツールになりますし、何より、自分がハイライトされるのを見るのは純粋に嬉しいものだと思います。リクルーターに映像を送ったり、ハイライト動画を作るときも、自分がはっきりと主役として映るので、とても効果的だし魅力的です。

Circle the Player(サークル・ザ・プレーヤー) は、Player Spotlight内でご利用いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

No items found.

FAQs

No items found.

Read our latest stories