タイムズスクエアから世界中のスクリーンへ――Veoがライブ配信したTimes Square Cup
Frederik Hvillum (Translation by Ai Farkas)

Street Soccer USAが毎年開催するトーナメントを今年はニューヨークの中心・タイムズスクエアで実施しました。Veoカメラはその全てのプレーを確実に捉え、世界中の家族や関係者へ向けてライブ配信を実現。「大舞台はエリート選手だけのものではない」そのメッセージを力強く示す取り組みとなりました。
10月の雨降る土曜の朝8時、タイムズスクエアが徐々に変化し始めました。普段は観光客と巨大広告で賑わうニューヨークの象徴的な街角が、この日は若きサッカー選手たちのフィールドに変わり、ニューヨーク市各区から集まった選手たちが「Times Square Cup」の舞台に立ちました。
今年で10回目を迎えるこのトーナメントは、ニューヨークのサッカー文化における重要なイベントです。Street Soccer USAがボルシア・ドルトムントと提携して開催するこの大会には、ユースから成人まで40チーム以上が参加。今年は午前8時から午後11時まで、計90試合が繰り広げられ、1日で約1,000ゴールが生まれました。大会にはStreet Soccer USAのプログラムチームに加え、ニューヨーク市の多様なサッカー文化を代表する男女チームも参加。オープンカップやウィメンズカップの優勝は、市内サッカーコミュニティにおいて大きな名誉とされています。
Times Square Cupは、Street Soccer USAが展開するカップシリーズのひとつで、同団体の影響力の拡大を象徴するイベントです。ボルシア・ドルトムントがメインスポンサーとして加わったことで、この10年の伝統はさらに格上げされ、社会的責任やユース育成への取り組みが世界的な名所であるタイムズスクエアで実現しました。今年はVeoもこの取り組みに参加し、ライブ配信技術を通じて大会の様子を世界中に届けるという新しい広がりを加えています。
「ブランドが関心を示し、積極的に参加し、イベントの成功に貢献してくれることには、常に大きな感謝の気持ちを抱いています」とBVBアメリカズのマネージングディレクター、マルク・リンゲンホフ氏は語ります。「現場での運営は素晴らしく、Veoのように世界中に映像を届けられるパートナーがいることで、イベント全体の体験価値がさらに高まります。」
ブロンクス、ブルックリン、イーストハーレムなどのStreet Soccer USAのプログラムに参加する若き選手たちにとって、タイムズスクエアでの試合を世界に向けてライブ配信される経験は、年間を通じて練習してきたことを発揮する場であり、これまで想像すらできなかった特別な体験となりました。
可視化で広がる新しい可能性
Street Soccer USAは常に明確なミッションのもと活動しています――サッカーを通じて、アメリカの支援が届きにくい地域の若者やコミュニティの力を引き出すことです。全米22の都市で展開される同団体のプログラムは、スポーツを社会変革とユース育成のためのツールとして活用しています。
しかし、Times Square Cupは単なる大会以上の意味を持っています。

「私たちのプログラムで常に意識しているのは、人々に“可能性の期待値”を上げてもらうことです」とStreet Soccer USAのローレンス・キャン氏は説明します。「自分たちの取り組みに強い自信を持っており、それが重要であると考えています。では、どうやってその取り組みを最大の舞台に置くか――その答えが、タイムズスクエアそのものでした。」
熱心なニューヨーカーの中にはロケーションを疑問視する人もいますが、Street Soccer USAのプログラムに参加する若い選手たちにとって、この会場は特別な意味を持ちます。
「全米の人々や、ニューヨークの地域に住む子どもたちにとって、タイムズスクエアは憧れの舞台であり、ここで活動を披露することで、その価値や意義が広く認められるのです。」とキャン氏は語ります。
この「認められる」体験は、単に象徴的な場所でプレーすることにとどまりません。Veoのライブ配信機能により、現地に足を運べない家族も、世界中どこからでも試合の様子を観戦できるのです。
テクノロジーで広がる地域へのインパクト
Veo、ボルシア・ドルトムント、Street Soccer USAのパートナーシップは、サッカーを誰もが楽しめるものにするという共通の理念を持つ組織同士を結びつけました。ドルトムントが大会に参加したことで、タイムズスクエアにその象徴的な黒と黄色のユニフォームを持ち込むだけでなく、グラスルーツレベルのプログラムもエリートアカデミーと同じように支援と認知を受ける価値があることを示す意味も持ちました。
「この活動は、コミュニティに還元し、Street Soccer USAの素晴らしい取り組みを支えることに尽きます」とBVBアメリカズのマネージングディレクター、マルク・リンゲンホフ氏は語ります。「Street Soccer USAのパートナーであることを心から誇りに思います。本当に意義ある活動です。」
大会では、Street Soccer USAがサポートする若い選手たちだけでなく、ニューヨーク市全体のサッカー文化も紹介されました。14歳以下、16歳以下のユースチームに加え、成人男女の各カテゴリーで競技が行われ、5つの区から集まったチームが1日中熱戦を繰り広げました。90試合にわたる試合では、選手たちの技術と情熱、そして応援の熱気があふれていました。
90分以上にわたる降り続く雨の中でも、若い選手たちは決して止まりませんでした。「彼らは大きな笑顔を浮かべながら全力を尽くしていました」とリンゲンホフ氏。「これだけ多くの人々が準備に携わったイベントにとって、本当にやりがいを感じる瞬間です。」
「見せる」次世代
Street Soccer USAのキャメロン・ロビンソンにとって、テクノロジーがユースサッカーにもたらす影響は、世代間の変化を意味します。彼自身が若い選手だった頃、試合をプロフェッショナルに撮影・配信することなど考えられませんでした。
「自分が子どもだった頃は、そんなことはあり得ませんでした」とロビンソンは振り返ります。「だからこそ、次の世代がその機会を持てること、そして彼らそのことに対して感謝の念を持っている様子を見るのは本当に素晴らしいことです。今の子どもたちは一生懸命努力していて、それを世界規模の舞台で認めてもらえる可能性があるのですから。」
一方、タイムズスクエアでの技術的な運用は独特の課題も伴いました。何千ものスマートフォン、電子広告、世界でも有数の混雑する交差点という環境の中で、安定したライブ配信を実現するには綿密な計画が必要でした。

「タイムズスクエアという場所で、これだけ多くのスマートフォンやテクノロジーに囲まれた中で、自分たちのカメラがこれほど鮮明に映像を捉えられるなんて、本当に驚きです」とロビンソンは語ります。「正直、最初は少し心配でした。『こんなにたくさんのスマホがある中で、うまくいくのかな』と思っていたんです。でも、これだけクリアに映し出されて、本当に感動しました。」
パートナーシップが生むつながり
Street Soccer USA、ボルシア・ドルトムント、Veoの協力は、パートナーシップが持つ影響力の拡張力を如実に示しています。Street Soccer USAで指導にあたる若手コーチたちの多くは、かつてプログラムの参加者だった元選手です。彼らが教え子たちの成長を見守ることで、サッカー文化が世代を超えて循環していることを実感できます。
「試合を観ていると、かつて選手だったコーチたちが次世代を指導し、その子どもたちのスキルが向上していく様子が目に入ります。まさに文化が形になって現れている瞬間です」とキャン氏は語ります。「そこに今回のような技術的サポートが加わることで、私たちが目指す理想の場がさらに現実的になります。」
さらに、ボルシア・ドルトムントとのパートナーシップは信頼と資源の面でも大きな後押しとなりました。クラブの世界的な知名度とユース育成への取り組みは、グラスルーツプログラムもエリートレベルと同じ価値ある支援に値することを示しています。BVBがメインスポンサーとして関わることで、Times Square Cupは年々拡大し、Street Soccer USAの活動に対する注目と支援の輪も広がり続けています。
注目されることの力
朝早くから夜遅くまで続き、90試合でおよそ1,000ゴールが生まれる中で、このイベントの意義がはっきりと見えてきました。タイムズスクエアでサッカーをすることや、ライブ配信に登場することだけが目的ではありません。支援が届きにくい地域の若者たちに、「自分たちも最大の舞台に立つ資格がある」ということを示す場であったのです。
「毎年、自然に規模が広がっていくように感じます」とロビンソンは語ります。「やればやるほど、さらに大きな影響や広がりが生まれるのです。」
15時間に及ぶマラソンのような1日を終え、運営に携わった人々は疲れ果てながらも充実感に包まれました。午前8時のキックオフから午後11時まで、街の目覚めとともにタイムズスクエアで試合を見続けるという特別な体験は、忘れられない思い出となりました。
「試合は朝8時に始まり、終わるのはほぼ夜の11時です。この場所でそれだけの時間を過ごすだけでも、一種独特の体験になります」とキャン氏は振り返ります。
しかし、1年中練習を重ねてきた若い選手たちが世界規模の舞台でプレーする夢を叶える瞬間、家で観戦する家族がその体験を共有する瞬間、そしてサッカー、テクノロジー、社会的インパクトへの取り組みが一体となったコミュニティを祝う瞬間――そのすべてが、この長い1日を価値あるものにしました。
最終的に、Times Square Cupは最大の舞台がエリートプロだけのものではないことを示しています。適切なパートナーとテクノロジー、そしてコミュニティへの揺るぎないコミットメントがあれば、グラスルーツレベルのサッカーもニューヨークの中心で世界に負けない輝きを放つことができるのです。



