ピラミッドを「正しい向き」で築くということ
Rosie Crampin (Translation By Ai Farkas)

初開催の「アレッシアカップ」には、周縁化された地域出身の少女180人が集まり、サッカーを楽しむ一日を過ごしました。しかし、本当の目的は、スポーツの機会にアクセスできない多くの女の子たちを置き去りにしてしまっているシステムを改善することにあります。
ある11月の午後、北ロンドンのピッチに12〜14歳の少女180人が集まり、初のアレッシアカップが開かれました。名前は新しいものでしたが、コンセプト自体は新しくありませんでした。Goals 4 Girlsは、英国初のサッカーとウェルビーイングを組み合わせたトーナメントを長年開催してきました。今回は、Sky UKおよびアレッシア・ルッソ財団との協力により、より大きな規模での開催が可能になりました。
しかし、この大会の意義はスコア以上のものでした。大会の裏では、Sky UK、アレッシア・ルッソ財団、Goals 4 Girlsによるパートナーシップにより、競技だけでなく、ウェルビーイングワークショップやダンス、自己肯定感を高める活動を組み合わせた特別な一日が作り上げられていました。
一般的なユーストーナメントよりも、参加の意義は大きくなっています。出場した少女たちはすべて、北ロンドンや東ロンドンの社会的に不利なコミュニティ出身で、女子アスリートの離脱率が急上昇する年齢にあたります。この一日は、その問題傾向に対抗することを目的として設計されました。
格差の裏にある数字
このコラボレーションは、Goals 4 Girls が Sky の「Game Changing」レポートに関わったことをきっかけに実現しました。このレポートでは、若い女性アスリートが直面しているさまざまな課題がまとめられており、その結果はとても衝撃的なものでした。スポーツへの参加における男女の格差によって、毎年2億8,000万時間もの機会が失われていることが明らかになったのです。さらに、もうひとつ重要な事実も示されています。
サッカーやスポーツを経験した少女の97%が、将来エグゼクティブ職に就いているという結果です。
Goals 4 Girls の創設者フランチェスカ・ブラウン氏は、次のように話しています。
「この数字は、少女たちが何にアクセスする必要があるのか、そしてなぜ組織への税制優遇や、各団体がCSRの資金を適切に使って次の世代に還元することが大切なのかを、はっきりと示しています。私たちの未来を担う世代のために、それはとても重要なことなのです。」

ブラウン氏は、マンチェスター・シティでセミプロ選手としてのキャリアを終えた後、2011年にこのチャリティ団体を設立しました。本拠地はロンドンで、7歳以上の少女や若い女性を対象に、サッカーと個人の成長支援、そしてメンタルヘルスのサポートを組み合わせた活動を行っています。
Goals 4 Girls が独自に集めたデータも、その効果の一端を示しています。
参加者の90%が、自信や困難に立ち向かう力、友人関係を築く力が大きく向上したと答えています。うつ症状を抱えていた少女の52%は、症状が軽減したと報告しています。さらに、学年の始めに退学のリスクがあった生徒の94%が、その学年を最後まで通い続けることができました。
ある参加者は、サッカーが自分にとって何を意味していたのかを、次のように語っています。
「サッカーのおかげで、人と話したり、自分の気持ちを前向きな形で外に出したりできるようになりました。いろいろな意味で、サッカーは私を救ってくれた存在です。」
居場所を作る
ブラウン氏は、ピッチの上でも外でも、少女たちにその日に何を持ち帰ってほしかったのかをこう語ります。
「今日、Goals 4 Girls と Alessia Cupの環境に足を踏み入れた少女たち全員が、ウェルビーイング(心身の健康)ワークショップやアクティベーションテントに参加するだけでなく、新しい友達に出会い、自分の目的を見つけ、居場所を感じることができて、大きな恩恵を受けています。」
ブラウン氏の説明には、“居場所の大切さ”という言葉が貫かれています。
「人生には、若い女の子たちが排除され、特定の場には居場所がないと言われるケースが多くあります」とブラウン氏は言います。
「私たちにとって重要なのは、ここでのこの空間が、少女たちに自分の居場所があると感じさせ、声が届き、存在が認められるという実感を与えることです。」
この日のプログラムには、ウェルビーイングワークショップ、ダンスセッション、自信を育むアクティビティ、そしてサッカー自体が含まれていました。ブラウン氏はこれを「私たちのプログラムで行っている活動をほぼ一度に体験できるワンストップショップのようなもの」と表現しています。

すべての試合は Veo で撮影され、180人の参加者全員が、自分たちのプレーを後で見返すことができました。ブラウン氏にとって、これは重要な要素となったのです。
「これによって、本物のスタジアムの雰囲気を体験でき、実際に自分たちが記録されているという実感が得られます」とブラウン氏は語ります。
「チームとしてのプレーや、ゴールを決めたときの喜びを、後から振り返ることができるのです。」
映像へのアクセスはピッチ上だけではありません。参加できなかった保護者も、娘たちのプレーを見ることができました。
「家から、サイドラインから、そしてそれ以外の場所からでも応援されていると感じられます」とブラウン氏。
「それこそ私たちがここで作ろうとしているものなのです。」
アレッシア・ルッソの役割
アレッシア・ルッソ財団は、2025年10月に設立され、少女や若い女性がスポーツを楽しむ機会を生み出すことを目的としています。ルッソ氏は、アーセナルおよびイングランド代表のフォワードで、2024–25年の女子サッカー年間最優秀選手に選ばれました。財団では、自信の低さ、ボディイメージの悩み、ロールモデル不足、代表者不足といった課題に取り組んでいます。
ルッソ氏とこのカップとの関わりは、彼女自身にとって非常に個人的なものです。ブラウン氏は語ります。
「ルッソ氏が幼い頃、今回の少女たちよりも小さかった頃に、こうした大会に参加したことが彼女の大切な思い出の一つです。その経験が、今日の彼女の道につながったのかもしれません。」
ルッソ氏は、自身の財団を通じて、カップが象徴するような大きな影響力を引き続き持ち続けたいと考えています。財団は Goals 4 Girls などのチャリティパートナーと協力し、地域の少女たちに活動を届けています。
投資の課題
「ライオネスの成功によって、英国国内外で少女たちにどんな機会が作れるのかが明るみに出ました」とブラウン氏。
「ですが、メディアやマーケティング、ブランドからの資金投資の流れを見ると、もっと草の根の視点で考える必要があると思います。なぜなら、私たちはおそらくピラミッドの作り方を間違えてしまっており、その結果、今育っている世代の多くの少女たちが置き去りにされてしまっています。」

ブラウン氏は、その影響について率直に語ります。
「周縁化されたコミュニティにいる少女たちが、こうした機会にアクセスできなかったりすると、少しずつ置き去りにされてしまいます。そして、その格差はどんどん広がっていくのです。」
ブラウン氏によれば、その解決策は、これらのコミュニティの中に持続可能な道筋(サステナブルなサポート体制)を作ることにあります。
「彼女たちがサポートされていると感じられる環境をどのように作るか。そして、彼女たち自身が将来の「ライオネス」になれる自分を描けるようにするにはどうしたらよいか、ということです。」
次に目指すもの
アレッシア・カップにはすでに、ロンドンだけでなく全国から数百人の少女たちが 待ちリストに名前を連ねています。ブラウン氏は、このコンセプトがさらに拡大していくと考えています。
「5年以内には国際的に広がっていくでしょう」と語ります。すでに、カップを海外で開催してほしいという問い合わせも複数あるそうです。
女子や女性向けの団体に資金のわずか2%しか届かないセクターで活動するチャリティにとって、課題は 影響力をどう拡大するか です。
「どうすれば、より多くの若い女性や少女たちに関わることができるか?」とブラウン氏は問いかけます。
「このコンセプトを、今度は全国規模に広げるにはどうしたらよいか?」
初回の大会は、競技としてのサッカーとウェルビーイングサポートを組み合わせたテンプレート を確立しました。すべては、ブラウン氏が言うところの 『少女たちが夢を描けるような変革的体験』 を提供するためです。
ブラウン氏が何度も立ち返る課題は、持続可能な道です。機会にアクセスできない恵まれない地域の少女たちは置き去りにされ、格差は広がり続けています。
しかし、この11月の北ロンドンの午後、180人の少女たちにはその機会がありました。
彼女たちはプレーし、学び、居場所を感じました。そして、自分たちが将来のライオネスになれる姿を思い描くことができたのです。
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