SteadyViewについてのQ&A with Marius Simonsen

Magnus Holt (translation by Ai Farkas)

Apr 18, 2025

Veoでは、SteadyViewという新機能を導入しました。高度なソフトウェアアルゴリズムにより、映像のブレを抑え、コーチやアナリストが試合そのものに集中できる環境を実現します。

このソフトウェアベースの映像安定化機能は、録画映像内の固定された背景物体を検出し、それらを基準に映像を補正する仕組みになっています。複数の特徴を同時に追跡し、並列で処理を行うことで、クリアで安定した映像を提供します。これにより、視聴体験が向上し、試合分析がさらにスムーズになります。

SteadyViewは、すべてのVeoカメラにおける新規録画に対して、ハードウェアのアップデートが不要で自動的に適用されています。すべてのVeoユーザーが、ソフトウェアアップデートを通じて常に進化し続けるこの技術の恩恵を受けられるようになっています。

今回はVeoのアルゴリズム開発者、Marius Simonsenにインタビューし、この新機能についての開発プロセスやもたらす効果などを教えてもらいました。

風の強いコンディション向けに開発されたこの映像安定化機能について、どのようなきっかけや課題がありましたか?

私たちは常に、視聴体験を向上させる方法を追求しています。その中で、風や振動といった環境要因が録画に影響を与え、スポーツのプレーそのものではなくカメラの揺れに目が行ってしまうことがあると気づきました。

私たちの目標は、一貫して「アクションそのものに集中できる映像」を提供することです。スポーツの記録において、コーチやアナリストは試合の細部まで捉える必要があります。そのため、何よりも重要なのは、映像からあらゆる“気が散る要素”を取り除くことでした。

この強化により、風の強い日の屋外試合や、バスケットボールコートのように床が反応しやすい屋内試合など、さまざまなコンディションでの録画が改善されます。
SteadyViewを開発することで、視聴者が試合に完全に没入できる映像体験を実現しました。

つまり、私たちは録画品質にもう一段階のクオリティを加え、視聴体験の核となる部分をさらに強化するチャンスを見出したのです。

映像安定化技術はどのように機能し、市場にある他のソリューションと何が違うのでしょうか?
SteadyViewのアルゴリズムは、映像内にある動かない背景、たとえば家や木、道路標識、駐車中の車など、を検出することから始まります。それらの物体をすべてのフレームで追跡し、それぞれのフレームを微調整することで、映像全体を通して背景が常に同じ位置に見えるように補正しています。

この技術では、各フレーム内で複数の特徴点を検出し、それぞれに“識別用の情報(ディスクリプタ)”を作成します。その後、マッチングアルゴリズムを使って、異なるフレーム間で同じ特徴点同士を対応付けます。この対応関係に基づいて幾何学的な補正を施し、背景のブレを抑えて安定した映像を実現しています。

ソフトウェアによって映像を安定化できる最大のメリットは、すべての既存ユーザーがSteadyViewを利用できることです。新しいカメラを購入する必要はありません。私たちがアルゴリズムを改良するたびに、その進化がすべてのユーザーに自動的に適用され、映像品質がさらに向上します。

これまでにどのような効果が見られ、Veoユーザーの視聴体験にどのような改善をもたらしているのでしょうか?
ちょっと面白い話ですが、SteadyViewの理想は、視聴者がその存在にまったく気づかないことです。映像が完全に安定していて、お客様が「これが物理的なカメラで撮影された」ことすら意識しない状態を目指しています。機能がうまく働けば働くほど、それに気づく人は少なくなるはずです。

通常、コーチやアナリストが映像を見るときは、同時に多くのことが起こっています。彼らは試合全体を俯瞰し、すべての動きを把握したいと考えています。しかし、カメラが上下に揺れると、映像も一緒に揺れてしまい、注意が散漫になったり、細かな動きが見逃されることもあります。

選手のプレーを記録した映像が、これまでのようにブレているのではなく、安定して記録されていると、観る人はカメラの動きではなくフィールド上でのプレーに集中できるようになります。 SteadyViewはすべての映像に適用され、映像の「核となるクオリティ」を向上させます。 コーチであれ、保護者であれ、選手であれ、Veoの映像を使うすべての人にとって、大きな価値をもたらす機能だと信じています。

Veoにとって、このような裏側の機能改善を続けることがなぜ重要なのでしょうか?また、今後フィールドではどのような未来が待っているのでしょうか?
SteadyViewのようなアルゴリズム開発は、ルービックキューブを解く作業に少し似ています。ある一面を揃えようとすると、それまで完璧だった別の面が崩れてしまうことがあります。すべてがうまく噛み合うように、常に調整とバランスを繰り返す必要があるのです。

私たちの目標は、映像品質を犠牲にすることなく、スポーツの録画をできる限り簡単にすることです。SteadyViewは、Veoの映像の「核となるクオリティ」を向上させる機能です。試合分析に使う場合も、SNSにアップロードする場合も、家族や友人と共有する場合も、どのような目的で使っても、映像品質がこれまで以上に高まっていることを実感していただけます。

私たちは、SteadyViewをさらに進化させ、より高度なケース、たとえば、これまで以上に揺れの強い映像にも対応できるようする予定です。現時点では、カメラが非常に大きく揺れている場合には、SteadyViewでも完全には安定させることができません。しかし、将来的には、より多くのケースで安定化できることを目指しています。

安定した映像は、今後Veoが展開していくあらゆる分析機能の土台となります。Veoでは現在、フィールド上のあらゆる位置関係 —カメラの向き、フィールドとの相対位置、そして選手の正確な位置、それらを把握することを前提に、多くの新しい分析ツールの開発を進めています。これらすべての土台となるのが、「カメラがどの方向を向いているか」を正しく把握することです。

SteadyViewによって、たとえ風の強い日や振動の多い環境でも、映像の安定性を大きく向上させます。
コーチ、選手、あるいは試合を楽しむ観客など、すべての方にとって、より快適で高品質な視聴体験をお届けします。

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